17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

『幼女戦記』の女の子の可愛くないデザインの意図

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 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 商業アニメの華はメカもしくはミリタリー&美少女なんですが、ここんところはミリタリー面で露骨な作品はそんな目立っていない印象はあります。「ガルパン」なんかも表向きの企画は女の子&趣味ネタ。でもそこから突き進んで、映像はハードコアな戦車描写をやるみたいにシフトしてましたし。基本、女の子はかわいく描いたりしてますよね。しかしそんな状況の逆ギレのように、なにかハードコアなデザインの作品が出てきました。

 

 『終末のイゼッタ』など、基本的な世界観には第二次大戦時のタイトなミリタリー描写の中に主役級の女の子がさっそうと現れるというデザインの作品が去年は現れましたが、今回の『幼女戦記』はどうも気配がちがいます。こんなタイトルでありながら、女の子が全くかわいくデザインされていないのです。この理由には、架空の世界の軍隊といえどもやっぱりドイツ軍をモチーフにしてることが多分に影響していると思います。

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3DCG原作のアニメ化は表情硬くなるのはなぜ?『スクールガールストライカーズ』

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スクールガールストライカーズ 視聴10分

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 ニコニコで見てたんですが「PSO2か?」てコメントが流れてきて、言いえて妙ですねと思ったんです。というのも、スクストもPSO2もアニメっぽいビジュアルベースの3DCGのキャラクターメインのゲームなのに、アニメ化されたとたん妙に原作ゲームにあった生き生きとした感じやギラついた感じが薄れてるように感じることです。なんでだろうな…と考えるに、それは登場人物の表情のアニメートのせいではないかなと。

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『けいおん』『日常』はこのクオリティでもおかしくなかった『小林さんちのメイドラゴン』

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小林さんちのメイドラゴン 視聴10分

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 ここ数年を振り返っても京都アニメーションが『聲の形』『ユーフォニアム』『ファントムワールド』とどんだけの全力投球してたかを考えると、ほんのすこし凪の時期に置いているということかもしれません。前回取り上げた『南鎌倉高校女子自転車部』が企画に対して異常なくらいの全力投球をしているのと比較すると、ほどほどの原作をほどほどの技術でアニメ化してる本作は、まさに凪を感じさせます。萌えやゆるい日常のアニメ化というなら、『けいおん』はこのクオリティでも十分成立してたわけですよ。

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アニメで最も難しいと言われる自転車を描くためか、今期随一のクオリティを発揮 『南鎌倉高校女子自転車部』

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南鎌倉高校女子自転車部 視聴19分

 

またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。なんでしょうか?今季ではかなりクオリティを何でここに発揮しているんでしょうか?その理由を考えるに、そもそもの「自転車」というモチーフがアニメにとっては大きいからかもしれません。

 

企画的には『ばくおん』とか女の子と趣味ネタ。一見してそこそこだけ興味をもてる内容なんだと思うんですが、そのデザインは相当にタイト。やけに綿密な背景美術、手前から奥移動で使用されるCG背景の自然な使い方によって自転車が疾走するアニメートを徹底しているのです。

 

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おっさんと女性作家が高校生の性欲を描く差 『クズの本懐』&『セイレン』

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クズの本懐 視聴15分

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セイレン  視聴15分

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 このブログタイトルがどっかのエロ漫画雑誌だったかの広告にあった「女子校生はセックスを知った子供です」という、狩野英孝がもめてる今まったく笑えないとんでもないコピーからスタートしたことを今回の2本で痛感しましたよ。

 

 この二つに共通しているのは突飛なキャラデザインを取らず、大人しく抑えたデザインを取っています。登場人物も女の子だけしか登場しないいわゆる萌えではなく、ちゃんと男女がおおよそ50:50ぐらいに配置もされている。しかしそれはドラマを見せることを主にしたためではなく、根底にある性欲の飛距離を遠くまで飛ばすために、蛇口をすぼめたものだと言えます。『クズの本懐』はいきなりキスで唾液が糸を引きます。『セイレン』は主人公の座席にヒロインがスカートの中身のほうで座っている姿が描写されます。これらを性欲をばらまくものといわずしてなんでしょうか。

 

 しかし、その性欲のありかたが作者の年齢や立場で完全に分かれています。はっきり言って、原作が女性作家と、おっさんとの差なんですよ。

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背景美術で描かれる”街”のリアリティライン 『Akiba's Trip』

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Akiba's Trip 1話 視聴総計9分くらい

 

またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。今回は背景美術に特化した書き散らしです。

 

背景美術の描写ってのは、キャラクターデザインの幅がある程度決まってる商業アニメーションでは作品のリアリティラインを一目で設定してくれる役割があると思います。例えばジブリ男鹿和雄から、今なら新海誠などは一目でわからせてくれますよね。かなり緻密にパースやレイアウトを計算して描写したなかに、デフォルメされたアニメキャラが生きている点を今の良質めなアニメのリアリティラインに定めてるひとはすくなくないんじゃないでしょうか。

 

これはまあアニメに限らないんですけども、舞台美術からビデオゲームの「GTA」シリーズみたいなオープンワールドでの街の風景の構築がリアリティラインを決定付けるとも思います。ではもともとがビデオゲーム秋葉原を描いた原作をアニメにした本作が描く、秋葉原の街のリアリティラインはというと…

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『アイドル事変』思ったより萌えもアイドルも当たらなくなってきた時代に突入してるのか否か

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アイドル事変 視聴10分

 MAPPAが『この世界の片隅に』を作ったあとでTVアニメーションではこういう感じ。このふり幅こそ村上隆&ポンコタン『6HP』はやってほしかったかもしれませんけど、もしそういう皮肉な無気力感のクリエイティブだった場合は現代美術側では会田誠あたりでストップ、商業映像制作でもAC部的な位置でストップになっちゃうと思うので、やっぱ『6HP』はああなるしかなかったかもしれませんね。国内のポピュラーカルチャーとアートの間の愛憎みたいなもんを全部ひっくるめてるとおもいましたよ。

 

 いきなり脱線しましたが、本作をざっくり見ながら感じるのはいよいよ猛威を振るったアイドルブームというのが現実でもアニメ界隈でも下火になり始めてるのか否かということです。

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