17.5歳のセックスか戦争を知ったガキのモード

葛西祝によるアニメーションについてのテキスト

『装神少女まとい』&『フリップフラッパーズ2話』 ”手描きの質感”を強調する新しさと古さ

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 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 なんでしょうね?魔法少女ものモダンエイジ(※既存のジャンルに現実のルールやムードを付加することでイメージをうち破り、ハードなコンセプトでデザインすること。アメコミの「ウォッチメン」「ダークナイトリターンズ」以降の用語)をやりたい感じ?違うか。

 

 まあ内容は意外に既存ジャンルそのまんまでいうこともないんですけど、意外にこれトリガーとか『ローリングガールズ』が推進してる「手描きアニメでしか成立しないアニメート」をもうちょい拡張する方向でデザインしてるのが意外によいです。で、同じ手描きの質感の残るアニメートを追っているスタンスの『フリップフラッパーズ』の続きを流し見してたんですが、こちらの場合なんでか古いと感じてしまうのですね。比較的構成要素の近いこの二つの作品を見つつ、「アニメートの新しさと古さ」というめんどうな話です。

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『シン・ゴジラ』を超えるセリフからセリフのテンポを持つ『信長の忍び』 ごめんゴジラべつに関係ないわ

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 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。ついにペースダウンしてとびとびになりますがよろしくおねがいします。

 

 今年はひっそり大地丙太郎イヤーでもあるとみていいんじゃないでしょうか?日本商業アニメの世界でこれほどまでに作画枚数を抑え、テンポとタイミングに特化した演出が際立つ映像作家、3年くらいこの書き散らしをやりながら各シーズンの作品をみてもそれほどいない。ほんとトリガーの作品くらいです。特に『とんかつDJアゲ太郎』に続いて短編枠だからこそ、その演出のプリミティブな良さを見通すことができます。

 

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男性アイドルに卒業イベントはないから、存在に安定感でるのはアニメもなのか『うたの☆プリンスさまっ♪ 』

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視聴けっこう

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 ニコニコでみてたらいきなり『全盛期は過ぎたからね…』としみじみしたコメントが流れてきて戸惑いました。そうかうたプリも書き散らそうとか思いながら完全に放置しまくってたな…ラブライブとの比較もどっかであったしそこでやってればな…あと、特徴あるスタジオでufotableのことも書くとかどこかでいいながら結局やってないしな…

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誰も得しない、今期最高クラスで出来のいいアイドルアニメ『アイドルメモリーズ』

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 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 ソーシャルゲームマネーパワーは半端ねえ…正直言って、質に難がある今期の中でもコンテや演出のテンポのよさ、露悪的なアイドルキャラアニメキャラっぷりをうまいことまとめ上げる色調、そしてきびきび動くアニメートのタイミングのよさが際立ちます。ラブライブの後追いやらプロデュースは中国からとか背景美術がデカすぎとかそういった前情報を抜きにしてみてみると、正直出来はいい。

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『タイガーマスクW』 あーっこの平成のデルフィン時代にこそトリガーがリミックスしてたらなあ…

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タイガーマスクW いまさら1話 視聴フル

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。

 

 劇場用アニメーションが豊饒な一方、深夜アニメの界隈は飛びぬけたものは今年に限ってはないような気がします。というか、ぼくが今のところ位としてもっとも客筋やたぶんクリエイティブにおいても太いところにあるアイドルネタを観てないだけかもしれませんが…まあそろそろ行くと思います。

 さて、そんな中の『タイガーマスクW』です。昭和の梶原一騎のあのテンションを、今再生させることは相当のリミックス能力が必要とされます。では東映アニメーションはどのようにしているんでしょうか?

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伝統と幻想をみせる演出とは…『うどんの国の金色毛鞠』

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うどんの国の金色毛鞠 視聴11分

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。20時更新中です。

 

 すげえ『甘々と稲妻』的なムードをかんじるんですけども…妙齢の男性、子供、料理と酷似する部分がいっぱいです。でもそれだけに、アニメのデザインの差がわかりやすいともいえます。

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京アニの『聲の形』とシンクロを果たしているとしか思えないシャフトの『3月のライオン』

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3月のライオン 視聴フル 制作:シャフト

 

 またひとつ現れました。瞬間的に熱しすぐさまに忘れ去られ、次なる瞬間に繋げるための礎です。20時更新を保つためついに来ました、シャフトの『3月のライオン』です。

 

 長らく京アニとシャフトを現行の日本の商業アニメ界のツートップとして語ってきており、なににもまして『けいおん!』や『化物語』、『まどかマギカ』の上手く既存ジャンルから2歩先のデザインを為してヒットした作品は、いまだに現れていません。*1

 

 アニメートや演出の方向性も京アニとシャフトは正攻法と邪道と綺麗に対照的となっており、これまではその対照も面白がってみておりました。しかし両者が現状の商業アニメーションから2歩先を行くデザインを続けていく一方、徐々に先述のような大ヒット作は遠ざかります。

 

 前回も書いたように客層や市場の欲望は下に向かうのに対し、クリエイティビティは上層へと向かうわけですからかみ合わなくなるのです。京アニもシャフトもすげえクオリティなのになぜか一部に凋落した、という残酷な評価を下される理由はそこではないかなと思っています。ですが上層を目指し続けた両者が、奇しくもまったく同じテーマのデザインにたどり着いているように見えるのが今回の『3月のライオン』と『聲の形』です。

*1:2歩先のデザインをしている作品自体は少なくないが、ヒットに至ってない

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